口臭で悩んでいる人の多くは、体の中からの臭いで口臭も臭くなっている人がほとんどです。
花粉の表面についたススによって花粉症が引き起こされるのです。
―このようなアレルギー疾患は、文明病ともいえそうですね。
その通りです。
排気ガスがないところ、自然がいっぱいある場所で、ちゃんとした栄養を取ってふつうの生活をしていれば、アレルギーはそう問題ないのです。
免疫力低下と感染症―0-157やレジオネラ感染症など、身の回りの新興感染症が目につきます。
現代人の基礎免疫力が低下しているようなこともあるのでしょうか。
免疫力が下がっていることは事実でしょう。
先ほどもお話ししましたように、生活環境、自然環境が化学物質で汚染されています。
日常摂取している食べものにも、添加物はじめいろいろなものが入っていますから、そうしたものが悪さをしているのは当たり前です。
さらに清潔志向に伴う除菌で、細菌の侵入を防ぐ皮膚などのバリアも弱くなっています。
常在する蘭があることで、免疫力が保たれているのですが、常在菌をなくしてしまったら無菌マウスと同じで感染しやすくなるわけですね。
総合的に考えると、基礎免疫力は低下していると思うのです。
―免疫力低下の背景には、現代社会のストレスの影響もあるのですか。
ストレスがある状態で飼育しているネズミでは、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性が低下しています。
都市化で人口密度が高くなると個々の人はストレスを感じます。
時間や厳しいノルマに追われるような仕事もストレスになります。
いずれもNK細胞の活性が低下します。
病原体が入ってきたとき最初に働くのは、NK細胞やマクロファージですから、NK細胞の機能が落ちていけば、病気になりやすいのです。
―エイズ、エボラ出血熱、大食いバクテリア(A群連鎖球菌)、クロイツフェルト・ヤコブ病など、新興感染症が増えています。
なぜ、「いま」なのでしょうか。
はっきり言ってしまえば、地球上の人口が多くなったことによります。
世界地図を見ていただければお分かりですが、海が圧倒的に多く陸地は限られています。
その陸地も、南極のような氷の世界、高山、砂漠などが含まれ、人類が住める場所は少ないですね。
増えた人口は都市に集中してスラム化が起き、生活のため未踏の密林などに入り込んでいきます。
戦争や内紛によって流浪の民になった人たちも同様に未開の地に入ります。
そして、サルの病気だったり、ネズミ、昆虫、ダニなどを宿主として、ごく限られた地域だけにあった病気が人間に広がったのです。
もうひとつは、感染症の研究が進んだこと、国際的にも監視態勢が整ってきたことによります。
これまで、何だか分からない病気で死んだ……などと片づけられていた病気の実体が明らかにされて、新興感染症として認識されるようになったのです。
―エイズウイルス(HIV)は、サルの免疫不全ウイルス(SIV)が変化したものとされています。
感染がサルにとどまっていれば、そんなに大きな病気にはならないわけですね。
自然宿主であるサルには大きな病気を起こさないのが普通なのです。
人に感染してHIVに変化し暴れだしたのです。
ヒトとサルの異常接近によって病原体の変化・移動が生じたのですね。
ウイルスが一度人のなかに入ればバリアが崩れてしまい、次の人に感染しやすくなります。
そのようにウイルスが変わっていき、病気が広がるのです。
―北海道のキタキッネが媒介するエキノコックス(サナダムシの仲間=条虫類)感染症も、人と野生の接点で起きます。
北海道では、人に慣れたキッネが人家近くに出没しています。
ロープウエイがあり革靴でも歩ける札幌市内の藻岩山でも、キタキッネに何度も会いました。
エキノコックスは、ネズミ、キッネや犬、オオカミなどでサイクルが回っています。
犬やキッネの腸管にエキノコックスの成虫がいて、糞のなかに虫卵があり、その虫卵が環境を汚染しているのです。
キッネの糞をネズミが食べて感染して、そのネズミをキッネが食べれば、サイクルがどんどん広がっていきます。
つまり、虫卵の環境汚染なのです。
北海道へ行って、きれいな小川がある、自然の水はおいしいなどと飲んだら、とんでもないことになります。
きれいに見えてもエキノコックスの虫卵に汚染されていて、それで感染する可能性もあるのです。
―逆に、人間の病気によって野生動物が被害を受けることもありますか。
サルだって人間の病気で死んでいます。
例えば結核によって、サルも死んでいます。
―動物との交流を求めて、ペットがブームです。
ペットと人のあいだの感染や人畜間の感染症はどうなのですか。
人間が古来から持っていた病気、サルに近い祖先から引き継いだ病気というのは、意外に少ないのです。
先ほどブタ回虫の話をしましたが、人の回虫は四千年前に中国南部でブタを飼育したことで、ブタ回虫が人に感染するように変化したものです。
犬は、十万年前にペットになったのですが、犬のジステンバーが人間にうつるよう変わってハシカになったといわれています。
病気を何も持っていない動物はいないのです。
ペットとして売っているミドリガメは、サルモネラ菌を持っていますし、インコやオウムの糞で増えるクラミジアによる肺炎も問題になっています。
伝染病予防法に替わる感染症新法の施行で動物検疫が厳しくなっていますが、隠れた状況で入ってくる可能性はいくらでもあります。
―ペットと接するときに、どんなことを注意したらいいのでしょうか。
ネコや犬を飼う前にちゃんと獣医さんのところに行って、病気になっていないかをチェックしてもらうことが必要です。
アニマル・セラピーといって、お年寄りや自閉症のお子さんに対して、動物の持ついやし効果というのは非常に大きいです。
そういうことを含めて、ペットとはいいつきあいが大切です。
ただ、感染症の面から見ると人への感染源になりうるわけですから、人と同じようにペットも定期的に健康診断を受けさせて、ちゃんと健康管理をすべきなのです。
結核増加の背景―先ほど新興感染症の話をお聞きしたのですが、結核のようにある程度封じ込めたように見えたものが再び増えてきている再興感染症も気になります。
結核が増えている背景はどこにあるのですか。
油断したということです。
結核行政の失敗ですね。
結核は治る病気になった、あるいは少なくなったからもう大丈夫だという油断を、行政も医療関係者も持ったということです。
結核は、感染しても発病する人は少ないのです。
四十年前、五十年前に感染したものの、自らの免疫力で発病を抑えていた人がたくさんいます。
その人たちが高齢になって、免疫力が落ちてきたために発症するというケースが目につきます。
お年寄りの場合は、老人ホーム、医療施設での集団感染は別として、再発や発病に気をつけることが大切です。
大きな課題は、若い人たちへの感染を防ぐことです。
お年寄りに結核の再発、発症が多いわけですから、そういう人たちと接する老人施設の若い職員、あるいは若い医療関係者は注意が必要です。
一人の患者さんから集団感染しやすいですから。
―具体的には、どうすればいいのですか。
BCG(結核の予防接種)の効果は、十年から十五年です。
さらに再接種は意味がないとされています。
つまり、BCGで小児結核は抑えることができるのですが、高校生以上には効果があまり望めそうもないのです。
―BCGを受けると陽転してしまって、結核に感染したかどうかを調べるツベルクリン反応検査(ツ反)での判定が難しくなるそうですね。
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